わからん。でもそこがいい。
- 作者: 吉本隆明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06/30
- メディア: 文庫
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最初に載っているのが、漱石の「こころ」についての文章なんだけど、漱石は三角関係が好き、というのは、その通りだと思った。先生とKとお嬢さんの関係を、「男二人で女一人を」というほかに「男二人の密接な関係の中に女が介入してきて決裂する」という読みもあげていて、そんなに真新しい話じゃないんだろうけど、ふうんと思う。
私は少し前まで「こころ」をちらちら読み返してたんだけど、「漱石って、女の表面をなでるような書き方しかしない人だよな」と、ふと思っていたので、Eさんのブログで「漱石は女に冷淡だ」とあったのを見て、「う〜ん。そうだよな」と思ったのでした。
「こころ」のヒロインのお嬢さんというのは、最初青年達に「なんかわけわからんところでけらけら笑ったりするし、なにあれ?」的な評価を受けていて、なんというか「不思議な生き物」扱いをされているように思う。男達はとうのお嬢さんの気持ちとかなんとか全くそっちのけな感じで、勝手に聖女化していたりして、おかしな感じ。
漱石のスタンスとして「女=不思議な生き物=内面を覗こうとは思わない」てな感じがあるのかなぁ。でも嫌いかというとそうでもないような。先生なんかはお嬢さんに対して「お互いにただ一人の相手でいたい」みたいなことも考えていて、ドリーム押しつけているし。
なんというか、「女のことはわからん。わからんけど、そこがいい」というか、「女とはそういうもの」というか。そういう認識なのかとちょっと思ったりしました。