key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

長男の出家

長男の出家 (福武文庫)

長男の出家 (福武文庫)

アメリカ帰りの作者の陰がちらちら見える小説3編収録。なんで買ったのかなぁと思っていたのだけど、表題作が芥川賞を取っているので、そのせいかもしれん。大学生時代にアメリカにいた男と、アメリカ滞在中に知り合って結婚した女のカップルという基本設定は三つとも変わらない。男はスマートなつもりでとんちんかんで、独りよがり。
表題の通りで、父親の週末座禅にくっついて寺に出入りしていた長男が、「お坊さんになる」と言い出して、やがてその寺の尼僧の養子になり、修行生活に入って……というのを、父親の視点で語ったものなのだけど、なんというか、父親の青臭さがちょっと鼻についたかも。奥さんの苛立ちが結構理解できるような。
男の人っていつまでも若くいられていいね。と、つい思ったり。