key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

読書記録

寝床で『照柿』をだらだら。やっと合田が水戸へ行く。
水戸での加納と合田のやりとりは、文庫の方が親しげでいい感じ。「あれ、キュウリとかトマトとかカレイとか食べてなかったっけ?」と思ったら、それは文庫の方だった。あと、文庫の方では、加納の母が死んでいるし、お手伝いさんも同居していない様子。結構変わっているなぁと思った。
じゃあ単行本は何が多いのかというと、貴代子と合田の過去についての描写が多いと思う。単行本を読んだ方が、貴代子のことはよくわかる。なんというか、単行本の加納は、貴代子の思い出のために配置されているような感じもしたり。『照柿』が、夕暮れに出会った一人の女に対する合田の執着を中心にした物語と考えると、新しい女と古い女の対比として貴代子のことが多く描写されるのはわかる。
ある女を媒介とした、別の男との関係、とか。「合田-貴代子-加納」と「合田-美保子-野田」とか。
ただ、加納という男の合田へのこだわりというか、眼差しを、この後の物語である『レディジョーカー』まで見通して考えたら、文庫ぐらい親しげな書きぶりでもいいのかも知れないと思った。
ただ、そう考えると、『マークスの山』の文庫版はどっちかというとあっさりな気もするし。……わからん。