key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『出来心』(切れ端)

 玄関で応対していたヒカルが「かに来た。かに」といいながら戻ってきた。
「かに?」
「ほら」
 広げられた袋の中を本田が覗く。中には足を縛られたズワイガニが入っていた。
「誰が持ってきたんだ?」
 本田が続けて訊くと、ヒカルは「越智」と答えた。
「それで持ってきた本人はどうしたのよ?」
「うん?帰った」
「帰ったぁ?」
 なんでもないように答えるヒカルに、和谷が尋ねた。
「帰ったよ。まずかった?」
「あのなぁお前、そういうときには”上がって食ってけ”って言うもんだぞ。一応」
 和谷は呆れた顔をしていた。
「ちゃんと言ったよ。オレ。上がれば?って。でもあいつ”落ち着いて食べたり出来なさそうだから”ってさ。"なにはいってるかわからないし"って。そこまで言われたら引き留めらんねぇだろ?」
 物真似入りの言い訳に、数人が目を合わせて絶句する。
「かにどうする?かに。このまま食う?」
 ヒカルはよだれを垂らさんばかりになっている。
「ちょっと。一応鍋に入れるのに持ってきたんでしょ?……進藤。それ切り分けるからこっちにちょうだいよ」
 カニ入りの袋とまな板の脇に置いてあった野菜の皿が交換された。
「誰か越智にカニ頼んだのか?」
 伊角は土鍋の蓋を持ち上げて、中をのぞき込んだ。
「あ。オレ」
 和谷が答えた瞬間、伊角が彼をじろりと見た。
「お前、そういうたかりみたいなのは……」
「冗談だよ。冗談。別にたかるつもりねぇって。ほんとに持ってくるとも思ってなかったし」
 伊角は疑いのまなざしで和谷を見ていた。
「ほんとだって。ちゃんと誘ってたし」
「……」
「誘ってなかったら、今日持ってくる訳ねぇって!」
「伊角くん。もういれていいよ」
 伊角は和谷を責めるような目で見つめつつ、蓋を開けた。
 もわりと湯気が上がる。もうだし汁はくつくつと煮立っていた。
「奈瀬。何でも入れていいの?」
「火の通りにくそうなのからだよ」
 伊角は手にしていた菜箸で適当に具を入れ始めた。

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さっき、あるファイルを探していて、こんなもの↑を見つけた。なにか考えていたものの出だしらしい。
ファイル名『出来心』
え〜と。私は一体何を書きたかったんでしょうか。
なにが「出来心」?
さっぱりわからんよ。