武藤くんと私
昨年『チルドレン』という映画をコメ欄で薦めていただいて、感想も簡単にエントリにしました。
これは佳作だな、と思いつつ、折に触れこの映画のことを思い出すので、なんでだろうとぼんやり考えていたのだけど、なんてことはない、私はおそらく武藤くんの駄目ぶりにすごく共感していたんじゃないかと思います。
特に彼の仕事の上での実りのなさに、職は違うものの、同じように実りの少ない仕事をしている実感を持っているものとして、身につまされたんじゃないか。もしかすると、武藤くんの駄目ぶりに、自分の駄目ぶりを重ねていたのかも知れない。そんな風に思いました。
思い返してみると、この映画を見た時期には、仕事の上で非常にシビアな問題が表面化してきていた時期でありました。そのような問題が起こることを私は(おそらく一緒に働いていた他の人達も)全く予想していなかったことがひとつ、それと、その問題は、「そのようなことは、(現状以上には)けしてあって欲しくないことだ」と、個人的に思っていたことだったため、私もその問題が明らかになったとき、また、それがごく身近なところで起こったことを知ったとき、愕然として、「こんなことになる前に、なんとか出来なかったんだろうか」「なにかサインがあったんじゃないか」「何か出来たんじゃないか」と、その問題に付随して若干増えた仕事に取り組みながら、1日の中で何度も考えていたのです。
原作を読んだら、原作のラストはわりにあっさりと終わっていて、映画の方がラストを綺麗に(理想的に)たっぷり情緒的に描いている分、盛り上げて観客をいい気持ちで映画から現実に送り出すようになっていると思うのだけど、あまりにも綺麗に書かれているので、私はラストでは逆に醒めてしまった。「それはどう?」とちょっと思ってしまった。
それで印象に残ったのは、武藤くんが日サロに足繁く通う姿。ブログにも何度か書いたけれど、あれくらい気になっていた。
でも、これは見てよかったと思います。たぶんDVDも買っちゃうんじゃないかなぁ。
伊坂幸太郎を読むきっかけにもなった。
ただ、私にとって伊坂幸太郎の文て東野圭吾の文と同種に感じられ、……あっさりしすぎというか……私は古いもの読み過ぎなのかも知れないなぁ。※2人とも話が面白くないわけではありません。
あと、これ見て気になったこともうひとつ。
途中で、黒い熱帯魚出てくると思ったんだけど(うろ覚え)。すごく尾の長いの。
あれなんて言うんだろう。いろいろ検索しても、どれも画像がニアピンぽくてもにょる。
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表題作自身は武藤視点で話が進んでいるので、武藤が主人公でも別に変ではないのだった。