key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『城の崎にて』

忘れないように書き留めておく。

ちょっと前にあった人から、「『城の崎にて』の桑の葉のところがよくわかんないんだけど、これって、どういうことなんだろうね」と問いかけられたので、久々にテキスト読んでみて、自分なりの解釈をしゃべったら、何となく納得してもらえたんだけど、家に帰ってきてからちょっとググってみたりしたら、この桑の葉の場面というのは、やはりみんな解釈に悩んでいるところらしい。
『城の崎にて』はよく教科書にも採択されているので、読んでいる人も結構多いと思うんだけど、ざっと内容を総括すると、「事故にあって死にかけた主人公が、療養のために当時温泉地として注目されていた城の崎にやってきて、いろいろな生き物のいまわの際みたいなものを目撃しつつ、生と死について考える」というような話。
最後の場面で、それまで傍観者的に生死を観察してきた主人公が小石を投げたのが偶然当たって、突然ある生物の生死を左右する立場になってしまう、というあたりがたぶん話のキモなんだけど*1、その場面の直前あたりに問題の「桑の葉」が出てくる。桑の葉は風のない時にはくるくるとしきりに動いているのに、風が吹き出すと、動かなくなってしまう。それを見て主人公は何事かを悟るんだけど、それが何なのかは書いていないので、よくわからない。
で、どうやら『城の崎にて』のベースになった『いのち』という短編を見ると、これはすんなりわかると言うんだけど、この『いのち』というのは、実は全集にしか入っていない様子。
ということで、今度図書館で『いのち』を探してくるよ。

*1:というか、私は勝手にそう思った。「偶然」というのがこの話の中の一つのキーワードになっているように思うのだが、偶然被害者になった人が、偶然生き残り、偶然加害者になると言うドラマじゃないのだろうか。