key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

覚え書きのように書いておく。

暮れも押し迫った12月の30日くらいに、昔の知り合いと再会した。
年賀状を出し合うような仲でもなかったから、お互い、相手がどこにいるのか全然知らなくて、偶然ある家電店で会ったのだった。
ていうか、向こうが私に気づいてわざわざ追いかけてきてくれた。
「いま何してるの?」と聞くと、市内で臨時職員として働いているという話。それで「今年やっと採用試験に通ったんです」とうれしそうだった。彼が以前公務員を志望していたのは知っていたんだけど、「ああ、地道に頑張っていたんだな」と思った。
彼の希望していたのは、一応毎年新採用はしているものの、昔からそんなに採用数の多い職種じゃないんだけど、ここ数年と来たら、予想を遙かに超える厳しさで、私の同職種でも、来春の新採用は全道で一人だけ、という話だった。……全道で一人って、そりゃ合格者の顔を見てみたい、というか、その人が他の人に比べてどう特別だったのか知りたいよね、なんて同僚と話をしていたくらいで。
民間の解禁前に試験があって、発表は毎年11月だから、仮に不合格だったとしても、もう民間に乗り換えるのは大変なので、昔から浪人の多い職種だったんだけど、最近は10年選手も多い。浪人している人は、上手くすると臨時職員としてその仕事に就けるけど、あくまでも臨時なので、一年の契約期間が終わったら、別の仕事を探さなければならない。私の今の職場にも臨時で働く人が年々増えているけど、3月末の契約終了までに、次の仕事が見つかる保証はないので、みんな3月になると不安そうだ。浪人していても採用される可能性が無くならない(それにしても臨時で働いていたかどうかで随分合格の可能性は変わるが)というのが、公務員のいいところなんだろうが*1、受験可能年齢の上限まで受験を続けても駄目だった場合、他に切り換えるというのは、今のご時世ではかなり難しいだろう。ていうか、上限まで受験して駄目だったときのことなんて、私がちょっと考えてもぞっとする。
特に、この日会った彼は子供の多い年の生まれで、大学などの受験もものすごく大変だったらしい。今は生徒集めに汲々としている大学も、彼の受験の頃はものすごく倍率が上がって、難易度が急激に上昇していたようだ。ちょうど先日の某A新聞で「ロストジェネレーション」と言われていた世代の一番厳しい辺りになる。「これでやっと臨時から抜け出せます」と彼は笑っていたんだけど、彼と彼の友達が過ごしてきた厳しい時代を思うと、「よかったね」とは言ったものの、とても軽々しくコメントしてすませられない気になった。
採用とは言っても実際は「登録」なので、名簿からひろってもらえないこともあるし、希望とは違う所に行かされることも大いにあるんだけど、彼ならどこへ行っても大丈夫だろうなぁと思いながら*2、その日は別れたのだった。

*1:実際はみんな臨時を続けるうちに他の可能性が無くなって、受験を続けるしか無くなってしまうというのもあるんだけども。

*2:なにしろ彼の今の職場がその筋では大変悪名高いということもある