key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』

札幌では昨日からの上映。
終了日未定とのことで、劇場に直接問い合わせても「2〜3週はやると思いますけど」と歯切れの悪い言葉。前売り買いに行った時点で、特典は終了していたので、とりあえずそれなりの枚数ははけているのだろうけど、これは入りが悪かったら即終了になるのかも、と、思い、なんとか都合して昨日の一回目の上映に行ってきた。入りはばらばらと多めに見積もって半分くらいだったろうか。中年以上の女性客が多かった印象。

生まれたときから、非常に関節が柔らかく、望まれてバレエを始めたセルゲイ。才能は確かにあり、楽しくやってはいたけど、自分のバレエのために祖母と父は外国へ出稼ぎに行き、イギリス留学の際に母親とも別れる。家族はばらばらになり、両親は結局離婚する。喜ばせたくてやっていたのに、と言う思い。
母親と再会しての、彼女への恨み節。増える入れ墨。ダンスをすると、疲れるからやめたい。踊っていないと、身体が痛む。結果踊らざるを得ない。痛み止めと米軍開発の栄養剤みたいのとをあおって舞台に出ていく。
仲のよい友人がふたり登場するけど、彼らの話の中で「幼い頃からそれだけやってきて、学校を卒業して、さあ何をしようとなったところで、ダンサーになるしかない」みたいな話があったのは、「うーん。やっぱそうなりますよね」と思った。
最後にしようと思って撮影した映像がたくさんの人の目に触れて、結局それが再出発のきっかけになる。舞台に戻り、家族を初めて招待する。たしかにそこには心境の変化があって、家族に対する愛があると言えるのかもしれない。
でも別に過去がなくなるわけでもないし、帳消しにもならないからな。

ロイヤルバレエを辞めたあと、アメリカに行きたかったのに、自分の振る舞いのせいで思うようにならず、ロシアへ行くことになって、テレビ番組に出て売り込みをすることになる、という場面があるんだけど、スタジオでバレエを踊らせて審査員が採点をする、というテレビのバラエティ番組が成立するロシアに驚いた。日本じゃまずないよな。あと、劇場のでかさよ。

それと、ものすごい脚力というか。ジャンプしてターンしながら舞台を横に移動、というのがバレエではよくあるじゃないですか。真っ直ぐに伸びた足がまず先に移動し、遠心力で身体を持っていって回転する、みたいなのが大変よくわかりました。そういう動きがいちいち綺麗。
興味のない人間にとって、バレエとかまあダンスって、運動とは捕らえがたいような雰囲気があるような気がするんだけども、あの肉体を非常にデリケートに制御する様子を見ると、ダンサーもアスリートだな、と思いますね。


最後のスタッフロールの時に”Dance,Dance,Dance”というかわいい曲が流れるんだけど、この歌詞がまたよくて。サントラ出てないのかなーと思ったけど、輸入盤もないみたい。とりあえず、円盤の発売を待ちたいと思う。