key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

萌えの核心というかなんというか。

 さきほど、TBSラジオの『ジェーン・スー 相談は踊る』を聞いていたのですが、本日のゲストMCが菊地成孔で、これがとてもいろいろ面白かったです。
 思春期でお父さんが大嫌いという女の子に、父に投げつける言葉として「私のこと好きなのはわかるけど、でもキスもセックスももうしてるからね」という最初持ち上げて、その後崖から突き落とすような言葉を勧める菊地氏。そしてこれが番組開始そうそうの相談メールだったと思うので、なんか最初からいい調子だった。
 『菊地成孔粋な夜電波』は私にとって極力聞きたい番組にもかかわらず、現在金曜深夜枠なので、仕事で疲れ切った身体にはかなりオンタイムでの聴取が難しくなっているのだけど、番組開始当初には配信されていたポッドキャストはもう何度聞いたかわからないくらい聞き返して、彼の本も何冊か読んだ。彼が妻帯者であることは記録の端々から知っていたものの、大変な病気をしたり、いろいろあったあと、奥さんのことはあまり聞かなくなって、生活の記録は完全に崩れた独身男のそれのような風に聞こえていたので、何となく「別れたのかな」と思われていたのが、本日の放送で、別居中であると言うことが本人の口から語られていて、「確かに特別公に公表するようなことでもないけど、別に秘密なことでもなかったんだな」と思って、心のどっかに引っかかってたものがとれた。
 まあ、そんなことより、今日私の心に残ったのは、彼が、5年付き合っている彼氏がいるけど、別の男に気持ちが動いている、という女性の電話相談に、「キスもセックスもやろうと思えば出来るけどしないでいる、というのが最高にいいのだから、今の状態を楽しんでいるのがいい」というような話をしていて、それがなんか納得したのだった。相手の新しい男じたいは、いい顔しておいてこっちがその気になったら逃げてしまいそうな狡猾な男のようだったので、そういうのは一線引いておかないと、大変な嫌な思いをすると思うので、やめた方が正解だと思うのだけど、その菊地氏の「キスもセックスもしようと思えば出来るけど、でもしないでいるのがいい」というのが、私もとてもわかるというか、私がBLに求めているもののひとつがそこにあるような気がした。しようと思えば出来るけど、しない時のなんかひりひりした感じと、なんかのきっかけがあって、ダムが決壊するように関係して、次第に爛れていくのが、たぶんすごく好きなんだと思う。
書き手としては、キスもセックスも簡単に書くことがありますけど。
でもそういうことが、すごく簡単に、日常的に行える人たちが、あえてしないでいる、というのには、すごい萌えがあるような気がするんだけど、そういうのは私だけかもな。