『氷菓』

氷菓 (角川文庫)

私の持ってるのはこれじゃない古い装丁の方なんですが、整体の待ち時間に読み終わってしまいました。
成績優秀で可愛いけどちょっと頼りない女の子と、平凡な成績でやる気もないし見せる気もないけど、ある種の感はよく働くので、前述の女の子から頼りにされる僕の話で、語り口も軽いので、「私の考えるラノベ」の見本のような小説でした。
分類はミステリだけど、主人公の勘の働き具合が結構突飛というか……。あまりわかりやすくないような情報でさっくり解を導き出してしまうので*1、ぼんやりしているとこっちが置いてけぼりになってしまいそうだった。一応解説はしてくれているんだが。
小説のタイトルに関連した話については、学生運動がらみでやや重い。ただ、学生運動が絡まなくても、青春期によくあるような精神的な弱さや人間の狡猾な面についてのことなので、多少でも心当たりのある青少年や大人の胸もちくりと痛ませるような要素はあるのかも。
どうやらこのシリーズ、この後がどんどん面白くなるようなんだが、この話の展開がずっとゆるいので、ぴんと来なくて、続きをどうしようか正直迷っている。

*1:その辺がこの男主人公の勘の鋭さを表しているのだろうが。