読了記録
変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 Aカ 1-1)
- 作者: カフカ,丘沢静也
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/06
- メディア: 文庫
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これはもう古典だし、初読はたぶん高校生の頃で、読んだのは
たぶんこれだったからか、結構悲惨で重苦しい印象を持っていたのだけど、この小説のあらすじを未読のひとに語ると、十中八九笑いが起こるということがあって*1、「あれ?」「もしかして私の記憶が間違ってる?」と思ってはいたのだった。
これを買ったのはもう随分前、おそらくこの光文社の新訳ものが出始めた時期に、ふらっと手に取ったものだけど、心のどこかに物語を確認したい気持ちがあったかも知れない。
結論を言えば、別に記憶に間違いはなかった。
ザムザはある朝虫になっており、起き上がるのに苦労して、たくさんに増えた足を何本か折ったり、母親に見つからないようにこそこそ動いたり、腐った食べ物を欲しがったり、妹のために人前に姿を現したりする。
ザムザの姿はグロテスクで、家族は重苦しい雰囲気の中で暮らしており、物事は上手くいかない。しかしザムザがいろいろやっているところを想像すると、グロテスクではあるが、確かにコミカルでもあるのであった。
『変身』以外でも、カフカの話はあらすじだけ語ろうとすると、”城に行きたいと思っているのにいつまでもいけずに終わる”など「なにそれ?」とぽかーんとしたくなるような話が多いのは確かなことだ。
今回はちまちま思い出したように読んでいたので、読了までもの凄い時間がかかっただけど、短編だし、新訳のせいか、気軽に読めた気がする。それとも年のせいかもしれないが。
単純に面白かったです。
*1:もしかして私の語り方が悪いのかも知れないが。