key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『BUTTER!!!』2

BUTTER!!!(2) (アフタヌーンKC)

BUTTER!!!(2) (アフタヌーンKC)

前巻はオタクの子のいじめ話とかが入っていたんだけど、思いがけず今回暗い展開で、女子二人のけっこうきっつい話が入っていた。特に、森ガールの「ブスって三回言われたら本当にブス」とか言うあたりは、……なぁ。相手に「チビ」って言えるだけ、あの子は強い気もするよ。

**********

昨年のマンガのランキングで『HER』なんかがかなり上位に来ていたせいで、大きな書店に行くと、ヤマシタトモコの本がBLも一般もほとんど買えるような状態になっている。ヤマシタトモコは私もほとんど読んでいるし、新刊が出ると割と気にして読んでいる方なんだけど、けして読後感のいい作家ではないと思うし、読んでなにかカタルシス的なものが得られるというよりは、ドアを開けるとすぐそこにあるような日常出会いがちな不快な感情とかを見せつけられて、心臓を紙ヤスリで削られるような気持ちになることが多い。特に『HER』はそれが顕著で、私は雑誌で連載されたときにも時々見ていて、本にまとまってからも何度か読んだのだけど、いつも同じように嫌な気持ちになってしまう。なかでも特に、年不相応にかわいらしい格好をした女が、自分とは反対のタイプである、自分の彼氏の女友達に対して愛憎入り交じった感情をぶつける話なんているのは、本当に嫌で仕方がなかった。私の苦手な女流作家の小説によくあるべたっとした空気がそこにはあって、読むのがつらかった。でも何度も本を開いてしまう。別に恐いもの見たさとかではないんだけれど、それは直視しなければならないような気がして、何度も何度も読んでしまった。
そんな風だから、創作の世界の中でくらいは、現実のどろどろした部分や醜いところ、痛々しいところを忘れてしまいたいという人には、ヤマシタトモコのマンガは不快なだけで、全く面白くないだろうと思う。結構好き嫌いの別れる作家だとも思う。なんで、あんなに高評価を受けるとは、正直思ってなかったかな。
ただ現実の生活の中でも、そういう人間同士の嫌らしいやりとりや醜い感情から私たちは目を背けてしまいがちのようにも思うので、こうして創作物を通してでも、そういうものの存在を再確認する作業というのは、必要なことなのかも知れない。

なんてことをぼんやり考えてみたりしました。

HER(Feelコミックス)

HER(Feelコミックス)

これは男の人に受けがいいように思うんだけど、なんでだろう。やっぱ違う世界の出来事だから、こんなぐちゃぐちゃしていてもかわいらしく見えてしまうのか?
私にはとても生々しい世界で、読みながら苦笑してしまいました。