key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

ツンデレとツンデレ

山椒魚 (新潮文庫)

山椒魚 (新潮文庫)

 最近必要が生じたので、十数年ぶりに読んだのだが、じっくり読んだ感想は、「なんだ、このツンデレ」だった。
 この小説のラストが、全集収録の際に作者の手によってぶった切られた、という話は、全集刊行当時結構話題になったのだが、実のところ、その理由は明らかになっていないような*1
 ただ、カットされた場面があると無しではずいぶん印象が違ってしまう。
 とりあえず、山椒魚は蛙にデレない。蛙も最後の強がりを見せたりしない。二人(おっと、二匹)でお互いにツンとしたまま、話が終わることになってしまう。
 昔読んだときには、授業の課題であったからか、そんなに面白いとも思わなかった気がするのだが、今回は結構面白く読めた。ツンデレ好きに勧めたい。
 ツンデレ×ツンデレ。好きな相手を閉じ込めて、自分と同じ不幸を味わわせる。そんな屈折した愛の表現。そんな感じ。

*1:もし、作者コメントなどあったのなら、是非知りたい