key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『こころ』のなぞ

最近『こころ』を読んだ、と言う人と、話をしたのですが、疑問点があるというので、何かと尋ねてみると、Kの死に方がどうにも変だと言うことでした。
Kは頸動脈を切って死ぬわけですが、彼は蒲団にうつぶせになって、部屋の奥の方へ倒れています。しかし、彼の血しぶきは襖の方に飛んでいる。これはおかしいという話。
頸動脈を切ったのなら、もうちょっと違う方向へ血が飛ぶはずで、仮に彼が襖に血しぶきのかかる体勢で頸動脈に刃を入れたのならば、その後蒲団に倒れ込むときには、体勢を変えなければならないはずだ。そんなことするだろうか。なんだか変。と言うことだった。
『こころ』で一番目についておかしいところは、先生の遺書というのが、一冊の本のおおよそ半分くらいにもなりそうなボリュームがあるのに、いったいあれは封筒に収まったのだろうか、収まるわけないじゃん。ていうか、そんな手紙が送られてきたら、普通に引くわな。……ということだと思うのだが、まあ、そう言うこともあるので、あんまちっちゃいことは気にすんな!と思ったりした。
Kが倒れ込んだ後蒲団の上でもがき苦しんだ、と考えればいいのかも知れないけども、そうであれば多少はどたばたするはずで、悩ましい思いを抱えていたはずの私が隣室のその騒ぎに気付かず寝ているというのも相当変と言えば変だと思う。

ところで頸動脈を切って自殺、というとやっぱ『高瀬舟』かな、と思うわけですが、あの「剃刀が刺さったまま抜けない」というのは本当に恐いよなぁ。