key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

『美しいこと』

美しいこと(下) (Holly NOVELS) 美しいこと(上) (Holly NOVELS)
これで構図あってると思うんだけども……。なんか変な気も。

いつかのコメント欄でおすすめいただいて、その後少ししてから購入。前後編なんで、「時間のあるときに」としばらく置いてあったんだけど、読み始めたらさくさく読めてしまった。木原さんはこれが初めてなんだけども、「上手い人だな」というのが第一感想かな。落ち着いた文章で、読みやすい。雑誌に掲載されたものを改稿したらしい松岡(受)視点の『美しいこと』と、書き下ろしで寛末(攻)視点の『愛しいこと』が収録されている。
挿絵は日高ショーコさんなんだけど、日高さんのマンガの雰囲気と、この小説自体の持つ雰囲気がかなり近い気がした。この小説に関して言えば、日高さんの挿絵で正解という感じがした。他の人のブログにもあったけど、木原さんは、木原さんの作品のみを扱った雑誌(?)も何冊か出ているということだけど、そういう雑誌なんかでマンガになっていても全然おかしくはないと思う。
木原さんは割に難しい題材を扱う人というイメージがあって、この話も「ストレス解消に週一で女装している営業マンと同じ会社の総務のさえないお兄さんの恋愛」という、ものすごい風呂敷たたむの大変そうな設定なんだが、「ええ?それはありですか?」と言うようなこともあまりなく*1、ハッピーエンドまでたどり着いた。
読みどころは、やり手営業マンの受けが女装バレしてからの恋愛弱者ぶりと、「おまえ、いい加減にしとけ」と言いたいぐらい気が利かなくてもっさりしている攻めの無神経さか。受けがMとはあまり思わないんだが、この攻めはちょっと、……どうなの?付き合ってる彼女が欲しがってたら、ボールペンぐらい買ってやれよ。私も他人のことは言えないが、こいつは出来ない自分に甘えてないか?とかなんとか読後にいろんなことを考えるくらいには楽しんで読みました。あと、受けの松岡くんが終盤本当にかわいそうでした。


英田さん*2よりも木原さんの方が相性良さそうなので、木原さんの別のものもこんど読んでみようかと思います。

*1:話の展開としては別に。ただ、攻めの行動には痛いものがあった。たくさん。

*2:別に下手な人だとは思わなかったんだけど。日本が舞台のものを読んだら、また感想変わるかも。