key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

edoharumi2009-03-29

ある山の上のちいさなお城。

漁業と果実栽培、蒸留酒の工場がある小さな田舎の町の、漁港をはるかに望む小さな山の上に、この城はある。(おそらくハイシーズンである)夏には、ゴルフに興じる人達でそれなりに賑わっているようなのだけど、私がこの城のあたりを訪れるのは、いつもオフもオフの冬〜春なので、どうにも「ひっそりとした寂しげな場所」というイメージがぬぐえない。
この城の中に入ると小さな広間があり、正面奥の階段を数段上った踊り場に、先日の写真の白クマが雄々しく立っているのだった。
先日は別にここに来ることが目的だったわけではなく、次の約束までに時間が空いたので、ここで温泉に入ることにしたのだった。つまりは暇つぶし。温泉のお湯はその場からくみ上げているものではなく、また少し離れた山の上にある温泉地から運んできているらしい。浴場は内も外もそれほど大きくなかったが、洗い場が一人ずつのブースに区切られていて、隣に座る人と顔を合わせなくてもいいようになっている。一人用としてはわりに余裕のあるスペースの取り方で、小さな子供などをつれていても不自由はなさそうだった。全体に品のいいつくりだった。その日外は吹雪で、露天風呂を守るようにたてられた塀の隙間から、改めて真っ白におおわれる山の様子が見えた。