key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

失恋ショコラティエ

失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

失恋ショコラティエ 1 (フラワーコミックスアルファ)

読んだらチョコが食べたくなり、まだ開けていなかった冬コミの際の差し入れをむさぼり食らってしまいました。
ありがとうございます。>Hさん
食べ物を魅力的に書けるマンガとか小説はものすごく好きなんですが、これはよしながふみさん的な饒舌すぎるくらいの説明で食べ物を想像させるものではなく、単純に視覚に訴えてくる、チョコレートがものすごく魅力的に描けているマンガだと思います。水城さんはチョコレートが大好きな方のようですが、作者の愛情が感じられるような気がします。

大変才能ある青年がかなわぬ恋をバネにして(←ちょっと違うような気も)ショコラティエになり、自分の店を開店させる、というところまでが一巻の内容なんですが。
脇を固める主人公の友人であるフランス人青年(日本語ぺらぺらのアキバ系、フランスの老舗菓子店の四男)も年上の同僚(元々実家の菓子店で働いていた職人。そこそこ有能)も魅力的で、面白いです。まあ、話が順調すぎない?というのはありますが、年三回の連載でそんなにぐずぐずしていてもね……。それに話はまだ導入部なので、これからいろいろと事件は起こりそうです。
それで、このマンガの一番の特徴は、主人公のMぶりなんじゃないかと思いました。
とにかく好きな彼女からは恋愛の対象外にされている主人公なんだけど、全然へこたれないというか態度が卑屈というか。めくって1P目から「赤血球になって、あのひとの身体の中を駆け巡りたい」とかあるし。自分の作ったショコラを大好きな彼女の口の中に入れることを考えてうっとりとか。水城さんの絵自体のそれ以上にエロティックな雰囲気がある。
ものを食べるという作業は、出来れば楽しくあった方がいいと思うし、食べるという行為には快感があると私も思うのですが、このマンガでは「食」は「官能」と直結しているような感じ。
黒薔薇アリス』も『失恋ショコラティエ』も、発売前からものすごく楽しみにしていた、というわけではなく、「まとめて読んでから判断しよう」と思っての購入だったんだけど、これはどちらも当たりだと思いました。