key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

合田と加納兄妹

合田は父親を亡くしたあと、母親と東京に出てきて、そこで(これが高校の時なのか大学の時なのか、未だはっきりしない)加納兄と知り合う。
加納兄は合田との関係を称して「水と油だが、混ぜると混ざらないこともない」とのこと。彼としてはおそらく積極的に「混ざりたかった」のだろうな。硬い石を柔らかくしたい、溶かしたい、と思っていたのかも知れないし、その硬さ故、一緒にいても、自分を繕わなくていい場所を見つけられると思ったのかも知れない。
加納妹と合田は兄を介して知り合ったのだろうが、妹の方は、おそらく兄の性癖にも気付いていたし、合田のことをどう思っていたかも知っていたのだろう。その上で、兄の留守に、兄のベッドで、兄の好きな合田*1と寝る、というのは、なんという暗い感情からの行為かと思う。彼女にとっては別にそれが合田でなくても良かったのだろうから、破綻は最初から見えていただろう。そういう暗い動機を別にしたら、彼女にとっては合田というのはつまらない男だったろうし。彼女は合田と寝ながら、ずっと兄貴のことを考えていたんじゃないだろうか。そんな気がする。
兄は兄で、自分の妹が、自分の好きな合田と、自分には絶対出来ないような(でもおそらくすごくしたい)ことをやっている。ていうか、こともあろうに自分のベッドで、自分の留守にしていて、それだけではなく、結婚してしまった、というのは、なんというか、もう、……そりゃ結婚式には出たくないだろうなぁ、と。ただ、合田が妹と結婚したことで、合田と自分は縁づいたのだから、全く悲喜こもごもだったろうが。
合田は城山社長よりは敏感かも知れないが、付き合いだしてから十八年も経って、ようやく「自分にとって加納とはなんなのか」と思い悩み、他人に刺されでもしないと気がつかないほど鈍感な人だ。その鈍感な合田を巡って、加納兄妹が暗い感情をお互いに持ち合っていたのかと思うと、なんかたまらん感じがする*2


オリジナルでわりによく似た関係を扱っているので*3、この三角関係は興味深い。

*1:一応知らない方のために申し添えておきますと、これは私の勝手な妄想ではなく原作設定です。よろしく。

*2:たまらなく嫌、というのではなく、趣味が悪いと思いつつ、わくわくする感じ

*3:難しい性格の男と双子の姉弟