key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

なにが正しいのか

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

フラワー・オブ・ライフ (4) (ウィングス・コミックス)

この本を読んだときに引っかかっていたことがいくつかあった。
最近人と話をしている中で考えさせられることがあったので、とりあえず書いておく。
正月に春太郎のお母さんが帰郷してくる回で、お母さんが「子供に優しいことを言う親は実は子供のことを考えてはいない」ということをにこにこしながら話すところがある。
いろんな企業の人と話をする機会が今年はすごく多くて、その中でも頻繁に話題に出たのが、親のことだった。
曰く、「親が子供の職場見学について来たがる*1」「子供が納得しているのに、親が子供を離さない」等々。就職した子供が連休などで帰郷した際に、ちょっと仕事で愚痴をこぼすと「そんなに大変な仕事なら、やめなさい。あんた一人ぐらい喰わせてやるから」と言われて、離職する若者がいる、とか、親が転勤になるので、「仕事を辞めろ」と言われたとか。これもよくあるけど、残業させていたら、「うちの子供だけ遅くまで残すな」と電話で言われた、とか*2、まあ、そんな話。「簡単にやめたくなるような仕事なんじゃないの?」という話もあるんだが、まあ、世の中そんなに楽な仕事は無いものだ。今時勤労経験が少しもない親もそんなにいないと思うのだが、これがこと自分の子供となると、ものの見方とか変わるのだろうなぁ、と。同じような話がちょこちょこ聞こえてくるので、「こんな話聞いたんですが、貴社ではどうですか?」なんて話を振ると、結構ボロボロ出てきて、こっちが驚いたりもする。新人教育もうかつに出来ない、と、名の知られた結構大きな会社の人もこぼしていた。
例えば「喰わせてやる」はいいけど、いつまで喰わせてやるんだろう、と。そうして「優しさ」から子供の職を転々とさせて、子供の生活が安定しなくなったら、どうするんだろう、と。その子がいい年になったら、手のひらを返すんだろうか。それとも、ずっと尻ぬぐいをし続けるんだろうか。(最近身近なところで訃報が入るので、特にそう思うのかも知れないが)何時死ぬかわからないし、自分たちが死んだあと、その子は一人で生きていかなければならないのに。どうするんだろう、と。
何となく「新卒で就職しなくても」とか「すぐにやめても容易に転職可」とか楽に出来るように思われているのかも知れないけど、実際、「離職者でもいいので紹介してくれ」っていう会社は少ないよ。日本の会社って、白地を自分の色に染めるのが好きだよなってつくづく思う。中途採用OKでも、新卒にはない+αが求められるから、ただ何となく仕事やめてぼんやりしてると、採用されないようだし(ていうか、中途採用の条件は新卒より実際厳しい)。
優しい言葉が実際救いになることも知っているけども、見極めが難しいな。親をやるのは、本当に難しい。
関連↓
Black! (上) (祥伝社コミックス文庫 (26))

Black! (上) (祥伝社コミックス文庫 (26))

親に守られて安穏と暮らしてきたお嬢さんの自立の物語。
主人公のお母さんのエピソードがちょっと印象深い。
社会的に役に立たない人間であることを自覚した若き日の彼女は、上司だった優しい(しかし恋してはいなかった)男と結婚をする。幸せな日々が夫の死で終わったあと、彼女は「社会に出て一人では生きられない自分」が生きるために、昔好きだった男(偶然近所で再会する)の所へ駆け込んでゆく。娘を一人残して。
まあ、これも一つの生き方。

*1:なかには旅費支給を求めてくることもあるそうだ

*2:実際一人で居残りさせているわけではない