key of life

BL小説を書いたりしている江渡晴美の日記です。

ある男の子の思い出。

高校生のときのクラスは、男子が女子の1.5倍くらいいるクラス*1だった。で、運動部系の男子とか、水飲み場でパンツ一枚になって身体洗うような「おとこのこ」が多くいた中で、ひょろんとした感じの優等生の男の子がいた。その子の話。
なんでそんなことをすることになったのかよくわからないけど、3分間スピーチかなにかをやっていたのである。自分はしゃべった覚えがないんだが、きっとなにか口から出任せをしゃべったんだろう。で、他の人の話したこともろくに覚えちゃいないのだが、その男の子の話だけは記憶に残っている。
その子は普段から早口でしゃべる男の子だった。今だときっとオタクと言われていたかも知れない。そういう早口。
で、彼が教壇に立って、口を開いた。
何を話すのかと思っていたら、彼は今自分がおかれている状況について話し出した。
自分は勉強したいことがあって、いきたい大学の学部があって、今とりあえず一生懸命やっているけど、もし大学受験に失敗したら、家で母親が開いている華道教室を受け継ぐことになっている。(その時の話だと、もう免状は持っているような感じだった)浪人したいと思わないことはないけれど、それは親との約束なので、仕方がない。受験に失敗したら潔く自分の希望は捨てるつもりでいる……。
というようなことをぺらぺらといつもの早口でしゃべって終わった。
その時に、なんだか、こう、そのいい切り方がすごくかっこいいなぁと思ったのだった。それと、わりにむさ苦しくて汚い教室*2で「華道」とか言われて、別世界を感じたと言うこともおそらくある。本当を言えば、部活の先輩でも池坊をやっていた人がいたので、そんなに華道が遠いものだったわけでもないのだが。
交友関係とかあんまり近くなかったので、彼とは数えるほどしか話したこと無かったけど、すごく大人な男の子、という印象だった。
いまは実家にいないようなので、おそらく自分のやりたいことをやっているのだろうなぁ、と、いつだったか同窓会名簿を見ていて思ったのだった。

て、なんでそんなこと突然書き出したのかというと、いま白川君の話を書いているからです……。

*1:それでも校内では女子率の高い方

*2:校舎自体がボロボロであった