バルバラ異界
- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/06/26
- メディア: コミック
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タイムトラベル+パラレルものと言えばいいだろうか。一部にエヴァを思わせるところもあり。火星が出てくるからなのか、スターレッドを思い出したりもした。「自我と孤独は一緒に生まれた」というようなネームが印象に残っている。
ラストは少し物足りないひともいるだろうが、密度の濃い話で、ものすごく読み応えがあった。4巻は特に切ない。いろいろ語りたい気もするのだが、ネタバレは避けられないし、あまり多くを語ってしまうと、この話のおもしろさを損なってしまいそう。萩尾望都のSFに抵抗ない人は、読んで欲しい。
遠軽とか北見とか旭川、女満別など、道内(特に道北)の地名がたくさん出てくるのだが、一カ所だけ美幌に「みほろ」とふりがなをしてあったのは、意図的なものなのだろうか?このほかは全部実在の地名と一致した読みになっているんだけど。ちなみに「美幌」=「びほろ」。
生まれて初めて買ってもらった漫画雑誌の巻頭に萩尾望都が載っていた。それからなので、萩尾望都とは長い付き合いになる。漫画を書いているときにも、特に人体の描き方はすごく影響されたと思う。ただ『残酷な神が支配する』があまりに痛々しくて、とても不安定な精神状態では耐えられないと、途中でリタイヤしてしまってから、少し距離を置くようになった。
それでも読み出すと引き込まれてしまう。
最近の若い漫画家に比べると、やはり萩尾望都も古い漫画描きになってしまうんだろうけど、あの年になっても画面に衰えが見えず、これだけ濃密な話が描けるのは、ものすごいと思った。新しいとか古いとかの評価を越えた、独自の存在と言えるかも知れない。